日本は自国の伝統工芸品をそのまま売り込もうとする、というエジプトからの指摘がある。この言葉には、日本企業の現地ニーズ調査の薄さが色濃く映る。つまり、日本企業は商品を押し付ける傾向にあるのである。
なぜ日本企業は現地のニーズを無視するのか

日本企業は、海外での商売において現地のニーズを見誤ることが多い。現地の実情を十分に調査せずに、国内で好調な商品をそのまま輸出する傾向にある。その結果、高価な伝統工芸品は富裕層に好まれるが、多くの人々が求めている日常的な製品のニーズを見落としてしまう。
一方、中国企業は現地のニーズに対応した製品開発を行い、支持を集め続けている。日本の製造業は、バブル後長期の円高により打撃を受け、地方のものが標準製品しか作れない状況に陥っている。そのため、現地のニーズに合わせた商品開発をする余裕がなくなり、自社製品を押し付けがちになったのである。
国内でも、「使わない機能モリモリで値段もモリモリ」という批判は絶えない。この問題は長年にわたり、日本企業の課題となっている。一方で、現地のニーズを無視し続けられるのは、利益が見込めないからである。例えば、インドで安価な洗濯機を販売しても、日本ブランドの付加価値がなければ十分な利益が得られないためだ。
一方で、ソニーのPS部門のように海外市場に適応した企業は成功を収めてきた。しかし、そうした変化は例外である。多くの日本企業は、自社製品を押し付けるか、標準製品の範囲内で動くしかないのだ。地方のものは製造業から撤退し、その結果、現地のニーズに合わせた商品開発の余裕がなくなった。
だからこそ、日本の製造業は現地の声を無視し続けているのである。
中国企業の現地調査力はなぜ優れているのか

日本企業が中国企業に負けるのは、現地のニーズを把握する力の違いである。中国企業は現地の文化や好みを丁寧に調査し、それに合わせた商品開発や販売戦略を練る。それには莫大な労力とコストが必要で、失敗も多い。しかし、中国企業は日々の商売で培った経験と資本を駆使し、その難題に挑んでいる。
一方、日本の企業は「安くて便利なものが一番」という声を無視できない一方で、現地の好みや文化を無視した押し付けがましい態度を取る。これはまるで「日本の伝統工芸品をエジプトに売り込もうとする」というような傲慢さの露呈である。
中国企業が利潤追求を最優先に考えているように、日本の企業もまた現地のニーズを「博打」と軽視する。この態度は後継者育成の問題とも関連している。若手が現地調査の重要性を訴えても、上層部がそれを無視することが往々にしてある。
日本の企業は現地の声を拾おうとしないばかりか、その試みが失敗した際にも諦めやすい。一方で、現地の好みや文化を無視した商品開発は散々な結果を招くことが多い。「安くて便利」だけで勝負できる時代ではない。現地のニーズに合わせた商品開発こそが、日本の企業にとって必要なことである。
製品の販売には現地のニーズが不可欠である

製品の販売がうまくいくかどうかは、単なる「これが良いものだ」という思い込みだけで決まるわけではない。現地のニーズを無視した製品開発はしばしば散々な結果を招く。マーケットインのアプローチが不可欠なのである。
中国企業は現地の好みや文化に合わせた製品開発で定評があり、一方の日本企業は自社製品をそのまま売り込む傾向が強い。これは「安くて便利」だけでは対抗できない現状において、致命的と言える。
かつて日本が世界を席巻したのは、薄利多売や「24時間働け」といった企業文化、そして円安の恩恵があったからである。しかし現在の日本企業は、そんな時代の良さを再現するのは難しい。
「これね、我々がラマダンの時に使うランプなんだけど、中国製の」という言葉には現地ビジネスの本質が詰まっている。中国企業はしっかりとリサーチして相手が何を欲しているか把握し、それを提供する一方で、日本企業は自国の伝統工芸品をそのまま売り込もうとする。これが成功への秘訣である。
「これはいいもの」という価値観が一致しないと、製品は売れない。日本企業はもっと現地のニーズを把握し、それに合わせた製品開発やマーケティングをするべきだ。また、日本国内ですら何が求められているのかリサーチできていない状況を考えると、現地のニーズを無視したままでは勝負が厳しい。
商売には選択と集中が必要であり、単純に「日本ディスり」の言説だけで現状を変えるのは難しい。日本企業には、自分たちにしか出せない価値を見つけて提供する能力が求められる。